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腎臓の働き
- 体の中で、いらなくなったものを捨てます。
- 体の中の、水・ナトリウム・カリウムの量を整えます。
- 血圧を整えます。
腎性高血圧のほとんどの原因は、水分・塩分が体の中にたまることによるものです。
- 赤血球を作るのを助けます。
腎臓は、骨髄で赤血球が作られるのを手伝っています。
- 血液を弱アルカリ性に保ち、血液の細胞の働きを良くします。
- 血液中のカルシウムの吸収を助けます。
- いらなくなったホルモンを壊したり、捨てたりします。
腎機能が落ちると
- 体内に毒素がたまります。
- 浮腫みが出来ます。
- 血圧が高くなります。
- 貧血になります。
- 骨がもろくなります。
〜〜〜 ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome) 〜〜〜
原因・分類
ネフローゼ症候群とは、単一の疾患ではなく、多彩な原疾患の経過中に起こる共通の臨床症状を示す疾患群である。機能的な概念であり、その症状は高度のタンパク尿、低タンパク血症を必須条件として、その結果生ずる浮腫み、高脂血症を特徴とする。その原因疾患は、腎臓に原発する糸球体疾患(原発性・一次性)が最も多く全体のほぼ80%を占める。他の疾患に続いて起こる(続発性・二次性)のものとしては、代謝性疾患、膠原病とその類似疾患、感染症、悪性腫瘍などがある。
原発性ネフローゼの発生に免疫学的異常(T細胞系)との関連が推測されているが、いまだ詳細は明らかでない。
ネフローゼ症候群の原因疾患と年齢別発生頻度の関係を見ると、違いが認められる。原発性(一次性)ネフローゼでは、腎の組織変化が微小で予後が良好な微小変化型(リポイドネフローゼ)が小児の大部分(80〜90%)を占めるのに対し、年齢の増加とともにこの型は減少し、成人では膜性(40〜50%)、増殖性腎炎(30〜40%)が増え、高齢者では続発性(二次性)ネフローゼの割合が高くなるという傾向が見られる。
原発性(一次性)ネフローゼ
- 微小変化群
糸球体にはほとんど変化が見られないもの。小児・若年者に多く、予後は良い。
- 膜性糸球体腎炎
免疫複合体の沈着のため、糸球体基底膜が肥厚して見えるもの。中年に多く、自然寛解が多いが腎不全に移行するものもある。
- 増殖性糸球体腎炎
メサンギウム細胞の増殖を示す。上皮細胞の増殖によって、半月体をつくるものは、進行性で腎不全に移行する。
- 巣状糸球体硬化症
糸球体にはほとんど変化を認めないが、皮質の深い部分にある一部の糸球体に硬化・硝子化などの変化が見られるもの。腎不全に移行することが多い。小児に多い。
近年、腎不全に移行する割合も少しずつですが、減ってきているようです。ですが、糸球体というのは増えることもなければ再生することもなく、また、再発するたびに正常な糸球体の数が減ると考えてよいことから一回の再発も油断できない病気です。
- 膜性増殖性糸球体腎炎
メサンギウム細胞の増殖と基底膜の肥厚が認められる。小児に多く、難治性で腎不全へ移行することが多い。
続発性(二次性)ネフローゼ
- 代謝性疾患
糖尿病性腎症、アミロイドーシス、粘液水腫。
- 全身性疾患
膠原病(SLE、結節性多発性動脈炎など)、悪性腫瘍(ホジキン病、多発性骨髄腫など)、ぞのほか(過敏反応、感染症、肝硬変など)。
病態
糸球体基底膜が何らかの障害により透過性を増し、正常では通さないタンパク、特にアルブミンを通し、尿中に排泄される。多量の血漿タンパクが持続的に失われる結果、血中のタンパク濃度が低下し、肝臓のアルブミン合成が促進しても補充しきれず低タンパク血症が起こる。すると、血管内の血漿膠質浸透圧が低下して細胞間質や体腔に体液が移動し、浮腫みが生じる。そして、循環血漿量が減少し、腎の血漿流量も低下して糸球体濾過量の低下が起こる。ナトリウム・水分の再吸収能が高まり、浮腫みがますます強くなる。
また、高脂血症、特に総コレステロール、低比重リポタンパクの上昇が起こる。これは血中アルブミン濃度の低下により、肝でのリポタンパク合成の促進と、リポタンパクの異化障害が起こるためと考えられている。高脂血症、特に低比重リポタンパクの増加により、動脈硬化が進展し、心血管系の疾患が高率に発症する。
凝固異常は、血栓寒栓症が高率に発症することから一般に過凝固・低線溶状態にあると考えられている。全身の静脈に起こるが、特に下部深部静脈血栓症は成人に好発する。抗血小板凝固能物質の尿中への漏出と,肝臓でのタンパク合成亢進によると考えられている。
低アルブミン血症、細胞性免疫能低下により易感染性が認められ、加えて治療薬としてのステロイド剤・免疫抑制剤が使用されることによりさらに感染しやすい状態となる。
主な症状
浮腫
顔面特に眼瞼部、下腿に強く現れる。突然に発生することが多く経過と共に全身に及ぶ。増強すると腹水や胸水も出現し、乏尿・急激な体重増加を起こす。胸水や腹水により呼吸困難、腹部膨満感が怒る。
消化器症状
食欲不振、下痢、嘔吐が出現する。これは小腸粘膜の浮腫みによる吸収障害による。
全身倦怠感
全身性の浮腫みのため倦怠感が強く、疲れやすい、無気力などが起こる。
低循環血漿量性ショック
嘔吐、下痢を併発し脱水傾向にある場合、しばしば低循環血漿性のショックを起こすことがある。急性尿細管壊死、腎静脈血栓症から死に至る場合もあり、適切な補液療法が大切となる。
主な検査
腎の病変の有無と程度、原疾患(一次性か二次性か)の確定、残存腎機能の測定、活動性、予後の推定、治療効果の判定のため、尿検査、血液検査、腎機能検査、超音波検査、腎シンチグラム、腎生検などの検査が行われる。
尿所見
大量のタンパク尿で、1日の排泄量は10g以上に及ぶこともある。尿の色は薄く、沈渣では円柱や白血球が見られ、少量の赤血球が見られるが、多量(肉眼的血尿)の血尿はまれである。
血液所見
- 低蛋白血漿:持続する蛋白尿により、血清タンパク、特にアルブミンの低下が著明となる。
- 高脂血症:総コレステロール、低比重リポタンパクの上昇が見られる。
- 生化学検査:血清クレアチニン値で男性1.6mg/dl以上、女性で1.3mg/dl以上の場合は、腎機能(糸球体濾過値)が70%以下に低下している可能性がある。
血清尿素窒素の正常値は10〜15mg/dlであり、15〜25mg/dlが境界値とされている。
腎組織像
ネフローゼ症候群では病型の診断と治療手段の選択のために、頻繁に生検が実施される。特に、成人のネフローゼ症候群ではその意義は大きい。
治療
安静療法
- 腎血流量を増やし、水・ナトリウムの排泄を促すために必要。
- 精神的な緊張やストレスは、代謝を促進し、腎血流量を減少させるので、精神的な安静も大切。
食って直ぐ寝ると牛になるといいますが、食後一時間ぐらいは横になって寝ることが良いそうです。それは、腎臓へ血液を良く送るという意味で良いそうです。
食事療法
- 病状により、制限あり。
浮腫みが強い初期は、水分と塩分の制限を行う。水分は前日尿量の範囲内に、塩分は1〜3g/day程度とする。浮腫みの改善により、制限は解除される。
(たんぱく質は、窒素化合物に分解され、大部分は腎臓によって尿中に排泄されるため、高たんぱく食は腎への負荷になることあり。)
ここでは、塩分を制限していますが、制限すべき物は塩分NaCl中のNa(ナトリウム)です。計算の仕方は“Na x 2.5 = 塩分”です。ナトリウムが何故いけないかというと、ナトリウムは血液中の水分と結合し水分を奪うことで、血中濃度を濃くしてしまうからです。これが、腎への負担増となります。
薬物療法
- ステロイド剤
副腎皮質ステロイドは第一選択薬である。抗免疫作用、抗炎症作用を介して、また、より直接的な糸球体基底膜の透過性抑制作用による尿タンパク減少を期待して使用される。原発性ネフローゼ、特にリポイドネフローゼではステロイド剤によく反応し、早期に寛解し予後は良い。しかし、再発することも多く、また薬剤抵抗性のネフローゼもみられる。ステロイド抵抗例や頻回再発例には、ステロイドパルス療法や他の薬剤との併用が行われる。投与量および期間によっては、重篤な副作用の出現の危険性は高くなるため、投与法、他剤併用法などさまざまな治療法が考慮されている。
ステロイド剤は基本的な治療法で、プレドニン40mg/day(8錠)から初め20mg/day(4錠)で退院です。減らし方は飲む量が少なくなればなるほど、飲む期間は長くなります。この方針はマニュアル化していて、この理由は、人の体はステロイドを約20mg/day作るそうです。しかし、外部からとり入れる事で体は作ることをなまけるそうで(でも、飲まないでいると徐々にまた作り始めます。)、したがって、体が実際に作る20mg/day以下では減らし方には慎重にならなければいけないそうです。また、20mg/day以上という多量のステロイドを飲んでいるうちは体が弱まってしまうので、外で生活するには良くないのです。それで、実際に体がステロイドを作る量と飲んでいる量が同じ(20mg/day)になったときに、体が外での生活に耐えられるということで退院できるのです。
- 免疫抑制剤
ステロイド剤抵抗例や頻回再発例に、サイクロフォスファマイド(エンドキサン)、アザチオプリンなどを用いることで寛解導入が可能に、また再発率の低下を期待できる。しかし、重大な副作用の問題もあり、慎重に行われる。
- 抗凝固線溶剤・抗血小板薬
難治進行例に対して、ステロイド剤、免疫抑制剤、抗凝固薬(ワーファリン)、抗血小板薬(ペルサンチン)をいくつか、または全て使用する方法がある。他剤併用療法あるいはカクテル療法と呼ばれ、その効果が報告されている。
- タンパク製剤
浮腫みに対し、ナトリウム制限と利尿剤によっての利尿が得られず循環障害を併発する場合、アルブミン製剤の点滴静注が行われることがある。
その他
予後
ステロイド反応性であれば、予後は良い。初期には再発を繰り返すことも多いが、経過と共に再発率は減少し、長期寛解に入る。長期治療が必要であるが、通常の社会生活が可能である。しかし、治療抵抗例、不完全寛解型では、社会復帰は困難であることが多く、腎機能の低下により慢性腎不全に移行、将来は血液透析が必要となる。透析は長期に渡り、新たな合併症の問題、透析時間の確保の問題などでさらに社会復帰を困難にする。
また、女性の場合は妊娠・出産も社会復帰上の大きな問題であるが、治療継続中及び寛解中であっても、不妊、催奇性、妊娠中の母体の腎機能への影響など、慎重な検討が必要となる。
巣状糸球体硬化症については、完全寛解になる人が増えてきているらしい。とは言え、パーセンテージで考えると低いことには変わりないですが、増えているということはいいことだと思います。仕事についてはデスクワークを中心とした仕事にしなさいといわれました。営業のような歩き回る仕事は絶対にしてはいけないということです。そういう意味では、最近はパソコンを使った仕事が増えてきているので時代には恵まれたような気がします。
日常生活
低塩・低タンパク食
- 血液の濃度の上昇による腎への負荷増。
最近は、ナトリウム量を表示している食べ物が増えてきて助かりますが、外食は表示してあってもその通りに作られていることはまずないので、なるべく避けたほうが良いと言われました。やはり、腎臓病食や糖尿病食が便利だと思います。腎臓病食は量は少ないですけど、安心して食べられますから。それに、種類も増えてきて、低塩・低たんぱく質ラーメンがでました。私が知っているのは2つですが、一つはほとんど味がなくおいしくないです。もう片方は、でんぷんで出来ているので、麺はもちもちしますが、まあ食べられます。糖尿病食の方は少し塩分が多いですが、腎臓病食よりは美味しい物があるので、私は腎臓病食と糖尿病食をうまくあわせて食べています。一人暮らしをしていた時には本当に助かりました。
感染予防
- 低蛋白血症による免疫力の低下。
- 浮腫みにより皮膚抵抗力の低下。
- ステロイド剤などにより抵抗力低下。
以上により、感染しやすく、重症になりやすい。
また、感染すると、感染による体蛋白の異化亢進し、感染に伴う脱水が腎血流量を減少させ、腎へ負担増となる。
→清潔と予防が大切!
私は、イソジンでうがいを良くしていましたが、そのおかげか周りが風邪をひいているのに、私はひきませんでした。うがいはしたほうが良いです。結果的には、退院して一年もたずに熱を出したわけですが…(悲)。ただ、風邪をひいて次の日にタンパクが降りていたからといって直ぐに再発だとは思わないほうが良いです。それは、人は誰でも風邪をひけばタンパクが降りるわけで、再発したから降りたとは限らないからです。主治医に聞いた所、再発に関係するウィルスは数日間の潜伏期間があるらしいのです。ですから、一週間ぐらいは様子を見たほうが良いそうです。逆に、タンパクが直ぐに引いたからといって安心も出来ないわけです。潜伏期間がある以上は、風邪を引いてから一週間後に再発することがあるからです。
寒さ・ストレスの回避
- 血管の収縮による腎血流量の減少。
寒さは血管を収縮させるため、血流を悪くし腎負担を生みます。ストレスは血管中に老廃物を排出するため、腎臓への負担を増やします。ストレスに関しては、入院中はやれる事がないので、それはそれで割り切って考えれたんですが、退院してみると、やれるのにやれないという状況ばかりで、もどかしくストレスがたまります。やはりこの病気は、ストレスによる精神的不安定をどう乗り切るかが一番の問題だと思います。おそらくこの問題は、解決できても一時的なものであり、一生続く問題ではないかと感じています。
自己観察
- 浮腫みの観察。
- 体重の変動。(増加していないか?)
- 尿量。(減少していないか?)
今思うと、発病の時の体重の増加ときたら驚くものがあります。1ヶ月しないで、10キロ近く太ったんだから。余裕ではけてたジーパンが、それはそれはももがパンパンで大変でした。しかも、やせようと思って運動量を増やした訳で、この病気から考えればやってはいけないことをやっていた訳です。知らないとは怖いですね。
尿試験紙による尿蛋白のチェック
- 異常の早期発見は、大切。
私は週に一度、日曜日にはかっているだけです。
正しい服薬と副作用の理解
- 忘れずに服用してください。
飲み忘れをその日に気付いたら直ぐに飲むこと。もし次の日になってしまっても、前の日の分といって倍飲んではいけない。
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